「サロメ」を見て
「サロメ」(2003)
カルロス・サウラ監督
アイーダ・ゴメス主演
この映画は戯曲「サロメ」が好きで借りてみることにした。「サロメ」は1893年にパリで発表されたオスカー・ワイルドの作品で、新約聖書をもとにして書かれている。オーブリー・ビアズリーの挿絵が有名で、はじめて見たときはぎょっとしたのを思い出した。ペンで描かれた黒白のイラストで後世に残っているのはこの作品くらいなのではないだろうか。
タイトルの「サロメ」というのは主人公の名前である。舞台はユダヤ。血のつながらない王エロドに情欲の対象として見られている王女サロメはある日、預言者ヨカナーン(映画ではヨハネ)に出会い恋に落ちる。サロメは激しくヨカナーンを求めるが、ヨカナーン過去にエロドが兄である前王を殺し、妃を奪って今の座に就いたことを非難してそれに応えない。それでもサロメは諦めずヨカナーンにキスすることを誓う。そんな折王はサロメにしつこくダンスをしろと要求し、褒美に何でも好きなものをつかわそうと約束する。それを聞いたサロメはベールを脱ぎ踊る代わりにヨカナーンの首を欲しがる。預言者を殺すことを恐れていた王は嫌がるが、しぶしぶヨカナーンの生首を銀の皿にのせサロメに渡したところ、サロメはヨカナーンの生首に口づけ、愛をささやいた。それを見た王はサロメを殺すよう命じる。
はじめこの作品を見たとき30分くらいは簡単なあらすじと監督や出演者による舞台作りの様子しか映されていなかったので、ひょっとしたらこの映画はドキュメンタリー映画で「サロメ」のストーリー自体まったくやらないのかとがっかりしたが、その後バレエによる演技が始まってほっとした。高校生のころバレエの舞台を見に行ったときは、セリフがなくストーリーを理解しにくくて退屈だったけど、今回は内容を完全に知っていたので楽しめた。またバレエの種類が見に行った舞台とはだいぶ違ったのも良かったのかもしれない。見に行った舞台ではいかにもバレエといった感じの優雅な踊りだったが、今作ではダンサーがバレエシューズではなくハイヒールを履き、かかとを踏み鳴らしながら踊るフラメンコのような踊りだったので、音楽のテンポも速く物語の悲惨な最期に向かっていく切迫感があってよかった。
1999年生まれ。大学生。
日本文学を専攻しています。
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