コロナウイルスによって発展すると言われている技術は『 PHYCHO-PASS』の世界で登場するのか?

※この記事では「サイコパス」というアニメを知っている前提で書かれています。「サイコパス」がわからないという人はぜひ一度アニメを見てみるか、ウィキペディア等で概要を知ってからご覧ください。また以前このブログで「PHYCHO-PASS3FIRST INSPECTOR」について記事を書いているので、そちらも参考にして頂けたら幸いです。

 今回のブログでは「サイコパス」で描かれる近未来の世界とコロナウイルスによってトレンドとなる科学技術について比較したいと思う。そもそもこんな記事を書こうと思ったのは今年の6月、自分の誕生日プレゼントに日経新聞の定期購読を父にたのんで毎日気になった記事をスクラップするようになったことがきっかけだ。コロナウイルスは就職活動に大きな混乱を生み出し、大学3年生になるまで何もしてこなかった私も自分がどのような状況で就職活動に臨まないといけないのかわからず不安が募った。自分のあまりすぐれない体調を考えるとリモートワークを積極的に取り入れた会社に就職したかったので、コロナウイルス感染が広がる前からリモートワークを取り入れている会社、またコロナウイルスによって積極的にリモートワークを取り入れようとしている会社、さらにコロナウイルスが治まってもリモートワークで働くことを推奨する会社を知りたくて日経新聞を取った。就職、リモートワークに関係する記事に絞ってスクラップにしていると、ほんの少しでも世の中のことを知れたようで安心する。

 そんな記事のなかで特に面白かったのが8月2日の26面、サイエンスを取り上げたページに掲載されたものだった。この記事ではコロナウイルスによってトレンドになるであろう5つの技術を紹介していた。詳しく読んでいくと確かにこんな技術があったらコロナウイルスの感染は抑えられるだろうという思いと、「サイコパス」の世界ではすでに実現しているものも多いのではないかという疑問が湧いた。ひとつひとつ紹介していこう。

タッチ革命

 これは文字通りなのだが、コロナウイルス感染を防ぐために人や物に接触する機会を減らすための科学技術だ。例えば三菱電機では券売機や昇降機のボタン、パソコン画面などを空中に投影した映像で操る技術を開発している。ボタンの映像に指先が重なるとセンサーが「触れた」とみなす。手が汚れる工場の利用を考えて開発されていたらしいが再評価され、2021年度中の完成を目指している。これはサイコパスでは以外と使われていない技術で、今でいうテレビや電光掲示板が空中に表示されていたり、時計から映像が投影されてスマートフォンのように顔を見て電話することができたりはするが、その映像に触っている様子がない。時計で電話するとき画面上にCALLという文字が表示されたらそれを指でタッチして通話をはじめるのかと思っていたけれど、この記事を書くにあたってアニメや漫画を確認してみたら、時計のダイヤルをいじっているだけのようだ。またエレベーターの昇降ボタンも現在と変わらないものが使われている。

出典:あにこ便

 コロナウイルスによって接触を減らそうと考えたからこういう技術に注目が集まったけれど、今までの生活でそういうものが欲しいとは考えたことがなかった。もちろん日経新聞に書かれていたように手が汚れる工事現場の人だとか一部には需要があるのだろうが、今使っている手で操るもの、例えばパソコンやスマートフォンがすべて空中に浮かぶ映像になるというのは不便なのではないか。というのは以前キーパッドにほとんど凹凸がないパソコンを使用したときにしっかりキーを押せている感じがしないのが不安で、いつもより画面とキーパッドを見比べて作業が遅くなったことがあった。手は第二の脳だというし、特に頭脳労働をする際触感を刺激されていることは案外大切なことなのかもしれない。だからサイコパスのような近未来でも触れない映像を手で操作するという場面は出てこなかったのではないか。

クリーンテック

 これはウイルスを除去したり、コロナウイルスを予防するワクチンを開発する技術のことだ。現在ではウイルスを紫外線で除去できないかと考えていて、ドアノブや机を光で照らしてウイルスを退治する研究が進んでいる。実際医療機関では一般的な紫外線より波長が短く、水や空気を殺菌する効果がある深紫外線を水銀ランプで照らす装置がある。これがLEDになれば携帯型にもできるので、私たちが日ごろアルコールジェルを持ち歩くように紫外線を持ち歩く日が来るかもしれない。

 また感染や重症化を防ぐワクチンの開発では大阪大学の黒崎知博特任らは「コロナ万能ワクチン」に挑んでいる。一概にコロナウイルスと言っても様々な種類があり、その数は60種類にも及ぶ。そんなコロナウイルスは10年ごとに現れると言われていて、どんな変異体にも共通する部分を特定し、すべてのコロナウイルスに効くワクチンの開発を急いでいる。

 サイコパスの世界では光で何かの除菌をするシーンやワクチンを打つシーンがまったく登場しなかったので、この技術がサイコパスの世界で使われているのかはわからない。

タイムマネジメント

 「密」を避けるために仕事がリモートワークになったり、学校がオンデマンド方式になってからすでに半年近く経った。通勤や施設利用で最適な時間配分をはじく量子コンピュータなどの研究に期待が膨らんでいる。サイコパスの世界で「密」という考えがあるのかはわからないが、全体を通してアニメを見てみるとものすごく人が混雑した場所はあまり思い浮かばない。これは作中に登場するエリアストレスという考えのおかげなのかもしれない。エリアストレスについては作中ではっきり説明されているわけではないので私の勝手なイメージがかなり入ってしまうのだが、街頭スキャナで検知される個人個人の色相が総じて良くない場所があると、それをエリアストレスが高いと言う。エリアストレスが高い場所というのは普段の生活だったら混雑している場所が多いので、メディアはそれを報道し、自然と人は自分の色相が濁らないようにそう言った場所を避ける。その結果混雑が生まれなくなるというわけだ。

 今のところはとにかく人がたくさん集まる場所をなくそう、外出よりは家にいることを推奨するという考えが一般的かと思うが、それでは経済が回らず失業せざるを得ない人々も出てきてしまう。毎朝皆が似たような時間起きて通学したり、通勤したりするのをやめようという「時間」の管理で「密」をなくそうという考えが現在の考え。対してサイコパスの世界で「場所」の管理で「密」がなくなる。(サイコパスの世界では「密」というより「ストレス」を避けているのだと思うけど)サイコパスの世界で混雑を避けるのはちょうど天気予報で雨が降りそうなら出掛けるのをやめるか行先を変えるようなものなのかもしれない。場所で「密」を避けるという考えは現実の世界で行えるのかはわからないが面白いと思った。

自己表現

 マスク姿で表情が隠れる時代には人はどうやって自己表現をしていくべきか。これはまだ発展途上で今のところ目立った科学技術はない。しかしサイコパスと比較してみると、バーチャルの世界がより発展するのではないかと個人的には考えている。例えばマンガ「監視官常守朱」2巻では朱がタリスマンに自分の悩みを相談しに行くシーンがあるが、それは画面越しにやり取りされるのではなく頭にはヘルメットを被り、手にはグローブをはめ(今でいうVRゴーグルの役目を果たしているのだろう)感覚をネット内の自分のアバターとリンクさせている。こうすることでアバターは実際の人物と同じ表情をし、身振り手振りを加える。

 現在でアバターがここまで実際の人物とシンクロすることはないが、バーチャル内で現実に影響を与えるような活動はすでに行われている。任天堂スイッチのあつまれどうぶつの森は香港の民主活動家がゲーム内の島を新型コロナウイルス流行下で新たな抗議活動の場所として利用したことで中国本土で発売禁止になってしまった。下の動画がわかりやすい抗議活動の様子だが、たしかにインパクトがある。現実でできない自己表現がバーチャルの世界で行われるのは今後どんどん増えていくかもしれない。

IoB(体のインターネット化)

 IoBというのはInternet of Bodiesの略称で私たちの体がインターネットとつながることを指す。最も身近な具体例を挙げるなら睡眠の質や心拍数、運動量といった計測を行うApple Watchを身に着けることがIoBと言える。また体内にペースメーカーを埋め込むこと、またこれはまだ実現していないが脳にデバイスを直接つなぐこともIoBと言えるのだ。なぜこの技術がコロナウイルスと関係があるのかというと、Apple Watchなどのデバイスに移動履歴や感染歴などを記録しておいて、その情報を開示すれば他の人の情報も引き替えに得ることができ、人の流れや感染経路を知ることができるからだ。自分の情報を人に見せることをためらう人はそれなりにいるだろうし、もっと強い言葉で言えば監視されているような気持ちになる人もいるだろう。

出典:YouTube

 このIoBの具体例と「監視」という言葉を聞いたときにサイコパスの禾生壌宗を思い浮かべた人も多いのではないだろうか。禾生壌宗は常守朱の上司であり公安局の局長を務める人物だが、その実複数の免罪体質者が交代でこの体を使っているだけの義体であり、首にコネクターがついていて時に応じ人格を入れ替えている。そしてこの禾生壌宗こそがシュビラシステムそのものであり、社会を監視し支配している人間たちの表の顔だった。「サイコパス」で描かれるように知らず知らずのうちに監視されほんの一握りの人間に支配される世界がそのうち訪れるとまでは言わない。けれどもこうした技術によって個人のプライバシーが侵害される危険は大いにある。それ以外でもIoBのリスクとしてサイバーテロなどが心配される。自分の体に入れてしまってなかなか取り出せないデバイスを勝手に誰かに操作されるかもしれないというのは考えるのもおぞましい。これからコロナウイルス感染防止のためこういう技術が発達していくこと自体は構わないが、その安全性はどう管理されていくのだろうか。

参考文献

日本経済新聞 「重要性増す技術トレンド」2020年8月2日26面

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