『技術経営(MOT)』イノベーション・マネジメントとは?その意義や価値【5分でわかる】

技術経営(MOT)について勉強を始めた
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本記事では以下の内容について解説します。(目次)
イノベーション・マネジメントとは?【定義】
イノベーション・マネジメントとは、その名の通り「イノベーションをマネジメントする」ことです。
既存の製品やイノベーション(技術革新)により生み出された製品には寿命があり、継続的な利益を生み出すためには絶えずイノベーションを起こす必要があります。
つまり「継続的にイノベーションを起こすのに適した状況を作ろう」というのが、イノベーション・マネジメントの狙いです。
技術経営(MOT)におけるイノベーションについては下記の記事にまとめてあります。
『技術経営(MOT)』イノベーションとは【5分でわかる】
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イノベーション・マネジメントの意義や価値
技術経営(MOT)におけるイノベーション・マネジメントの意義や価値は以下のように大きく3つあります。
①イノベーションは社会や生活を一変させる
②イノベーションは経済成長の源である
③イノベーションは企業競争力を左右する
順に説明していきます。
①イノベーションは社会や生活を一変させる
画期的なイノベーションは多くの人の生活を変え、さらに社会までも変えてしまいます。
(例:インターネット、iPhoneなど)
携帯電話であれば、初期は携帯することも難しそうなショルダーフォンと呼ばれるものから、ポケベル、ガラケー、スマホのような進化とともに、携帯依存症、歩きスマホという言葉が生まれるくらい私たちの生活スタイルなども変化してきました。
②イノベーションは経済成長の源である
イノベーションは経済成長の原動力になります。先ほどの『イノベーション・マネジメントとは?【定義】』で説明したように既存の製品には寿命があります。
簡単に言うと、製品の寿命が尽きた状態というのは製品が普及しきった状態を意味します。
そのためイノベーションによって、新製品、新サービスなどを継続的に生み出さなければなりません。
イノベーションを絶えず起こせば持続的な経済成長につなげることができます。
③イノベーションは企業競争力を左右する
多くの企業はイノベーションをきっかけに成長してきました。
その一方、イノベーションによって市場から撤退する企業もあります。
例えば、音楽産業ではレーコード、カセットテープ、ウォークマン、MD、CD、iPod、スマホ、ストリーミングサービス(Spotify)のように多くのイノベーションによって聴く媒体が変化してきました。
この流れの中でも多くの企業がイノベーションよって地位を獲得、またその市場から撤退をしてきました。
このように市場で地位を獲得している企業でも、他のイノベーションによって転落してしまう可能性があります。
地位転落を防ぐためにもイノベーションに備えることが必要になります。そういった意味でイノベーション・マネジメントは重要なマネジメントの1つであるといえます。
日本においてのイノベーション・マネジメントの重要性
これまで説明してきた「イノベーション・マネジメントの意義や価値」は国や地域、時代に関係なく多くのものに当てはまるものでした。
ここでは日本および日本企業にとってのイノベーション・マネジメントの意義や価値について説明していきたいと思います。
①フォロワーからトップランナーへ
日本及び日本企業は1980年代を境にフォロワー(追随者)からトップランナー(牽引者)へと変化しました。
変化する前までは欧州企業の製品をグレードアップし、高品質、低価格を目指せばよい状態でした。
しかし追いかける立場の時代は終わり、現在は今までにない新たな価値を生み出し世界を牽引していく立場にあります。
このような価値を生み出さなければならない状況からも、日本および日本企業はイノベーションを起こし続けなければなりません。
②バブル経済の崩壊
バブル経済の真っ只中では市場の拡大が著しく、同業者の成功している事業に参入すれば一定の成果を上げることができました。
しかしながら、バブル経済の崩壊によって日本経済の急速な成長は終わりました。
急速な市場の拡大が収束し、限られた市場の中で他の企業の模倣のみで成果を上げるのは困難になりました。
そのためイノベーションによって新たな価値を生み出し、自ら市場を創造することが必要不可欠になります。
③イノベーションによる生産性の向上
前述したようにバブル経済の崩壊によって急速な経済成長が終わり、マクロ経済の観点からはこれからの経済成長には労働力・資本の増加、生産性の向上が必要であると考えられます。
しかしながら日本では2007年に高齢化率が21%を超え超高齢社会に突入し、資本源の貯蓄率も低下しつつある状況から、労働力、資本の伸びにはあまり期待できません。
このような状況を踏まえるとやはりイノベーションによる技術進歩による生産性の向上が必要となります。
④グローバル化が進む中での日本企業
欧米の一部企業は日本企業が簡単に追いつけないような技術的先進性、ビジネスモデル、ブランド力を確立してきました。
その一方で中国、韓国などのアジア諸国は急速な技術発展を遂げ、確実に日本の技術に追いついてきました。
そのため技術力が売りであった日本企業は、その優位性が失われてしまいました。
そんななか日本企業がグローバル化環境で成長していくには、やはりイノベーションによって顧客にとっての新たな価値を生み出し、そして新たな市場を開拓していくことが重要です。
⑤選択と集中
日本の企業は「選択と集中」といわれる事業再編成のスピードが遅いと言われています。
しかし長期的に見ても事業を絞るだけで新規事業を行わなければ意味がありません。
このことから撤退する事業に見合うだけの新規事業を生み出し育てていくためにも、イノベーションは欠かせない存在となります。
以上のことから現在ではイノベーションこそが企業経営の中核になるといえるでしょう。
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