「ヘルタースケルター」を見て
「ヘルタースケルター」(2012)
蜷川実花監督
沢尻エリカ主演
綾野剛、水原希子、吉田鋼太郎など出演
前回蜷川幸雄監督「蛇にピアス」を見たので、今度はその娘の蜷川実花がどんな映画を作っているのか気になって見てみることにした。流行を象徴する渋谷の街の描写は「蛇にピアス」とかなり似ている気がする。蜷川幸雄は舞台監督として蜷川実花は写真家としてそれぞれ映画を作り上げたが、お互い影響を受けている部分はあるのだろうか? インタビュー記事を探してみたい。
沢尻エリカ演じる主人公りりこはその美貌を活かしタレント、女優、モデルとして芸能界の第一線で活躍していたが、その実りりこの体はほぼ全身を整形して作ったものだった。仕事に追われる生活のなか、りりこの体には整形の後遺症によるあざが現れるようになる。「美しくなければ忘れられてしまう」という焦りから、あざを消すために何度も整形、服薬を繰り返していくけれど、ライバル新人の登場、彼氏の婚約報道などでりりこの行動は常軌を逸していく。
映画は蜷川実花の写真作品同様に派手な色使いだった。特に良いと思ったのはりりこの部屋の装飾で、シャンデリアに天蓋付きのベッド、赤い壁紙にはホームシアターのスクリーンなみに大きい唇のイラストが描かれ、鏡と自分をクローズアップした写真が壁一面に飾られている。りりこが自分の美しさに強く執着している様子が伝わってくるし、その後狂気で部屋を荒らしても、はじめからゴテゴテしたインテリアがあふれかえっている家なので汚くなるどころか部屋が完成されていくようなイメージがある。蜷川実花自身も真っ赤な壁紙の家(仕事場?)に住んでいるらしいが、さすがアーティストだと思う。私は実家暮らしで壁紙を変えたりすることはできないけど、一人暮らしだとしてもやっぱり白い壁紙の家に住みたい。
その装飾に引けを取らないほど沢尻エリカは美人で役にはまっていた。普段の姿とは違うぱっつんの前髪とストレートのロングヘアも似合っていたし、本当に人形のような均整のとれた体をしていて、整形されたと言われたもしっくりくる。また沢尻エリカ自身が惚れ込んだ役とも言われていたので性格的にも近い部分があったのではないかと思う。
他にも蜷川実花監督、沢尻エリカ出演の作品は「人間失格」があるので見てみたい。
1999年生まれ。大学生。
日本文学を専攻しています。
ここではおもに映画やアニメの感想を挙げていくつもりです。
ブクログの方で本の感想も見ることができるので、そちらもご覧ください。